第55回一橋祭

夜行バスに14時間乗るとどうなるのか?

自己紹介

こんにちは。一橋祭運営委員会に所属する3年生の黄金のバウです。突然ですが子どものころから憧れるものってありますよね。万年筆とか探偵が被ってそうな帽子とか測量野帳とか。僕にも憧れるものはたくさんありますが、その中の一つに夜行バスというものがあります。というのも夜行バスに乗ったことがなかった自分には夜行バスでの移動にかっこいいイメージがありました。夜、移動、四角い、というかっこいいイメージを詰め合わせたのが僕の中での夜行バスでした。しかも安い。そんな夜行バスに乗るチャンスが21年間で一度もなかった僕に、この度ついに夜行バスに乗るチャンスが訪れたのです。

経緯

ことのいきさつとしましては以下の通りです。学年が一つ上の先輩に誘われて先輩二人と友人一人と九州に旅行に行く機会がありました。お誘いいただいた先輩方は僕らとの旅行のあとにさらに何日か九州を旅行するそうですが、僕は次の日に大学の授業があるため友人と二人で夜のうちに福岡から東京まで帰る必要がありました。

さてこの旅行にお誘いいただいたのがだいたい二カ月前なのですが、私も友人もあまり旅行に行く方の人間ではないので帰りの交通手段を早く用意しないと値段が高くなるということを失念していました。そして帰りの交通手段を用意する必要があると気が付いたのは旅行の一週間前でした。行きの飛行機は先輩方に早めにとっていただいていたので安く済んだのですが、帰りに飛行機で帰ろうとすると行きの約3倍弱の値段がかかるということを旅行の一週間前に知って驚きました。高額な値段に驚き、代替手段がないか考えているときに友人が夜行バスで帰るという手段を提示してくれました。行きの飛行機と同じくらいの値段で、しかも僕が密かに憧れていた夜行バスという交通手段を提示され、僕はこれしかないと思いました。こういういきさつで、僕は夜行バスで福岡から東京に帰ることになりました。

小倉駅に到着(20:11)

僕らの乗る夜行バスは小倉駅発・新宿駅着の夜行バスでした。夜行バスに乗る前に夜ご飯を食べるつもりでしたが電車の遅れの影響で時間が無くなってしまい、夜ご飯はコンビニエンスストアで買って夜行バスの中で食べることにしました。とりあえずとてもおなかがすいていたのでおにぎりとサンドウィッチを買ってバス停に向かいました。

夜行バスとご対面(20:20)

バス停で夜行バスを待っていると、普通のバスよりも格好いい黒っぽいバスが到着しました。窓の外からバスの中を見た時、僕の夜行バスへの期待は最高潮に達しました。バスの前の方の窓からはホテルの一室みたいな照明のある小部屋のような空間が見え、座席も傾きから明らかにリクライニングチェアであることが分かり、これは移動付きカプセルホテルじゃん!すごい!と思いました。これに乗っていればホテルに宿泊しながら目が覚めると東京についているようなものだ、しかも飛行機よりも格安で。なんてこの時の僕は思っていました。今まで憧れの存在だった夜行バスについに乗るということでテンションもMAXでした。

夜行バスに乗車(20:21)

バスに乗車してみるとただのバスでした。

僕が窓の外から見たもの、あれは何だったんでしょうか。友人と話した結果、あれは一つのバスに何席かしかないビジネスシートか、交代交代で運転するバスの運転手が休憩するためのシートかという結論に至りました。僕らの座る座席はまじで普通のバスの椅子です。横に三席が間隔をあけて並んでいるのが普通のバスと違いますが、本当に普通のバスでした。

誤算

さて、夜行バスが普通のバスであった以上、僕は何点か大きな誤算があったことに気が付きました。

まず、僕は移動時間の14時間をフルで睡眠するつもりはなく、動画を視聴したり本を読んだりする予定でした。このために僕はわざわざ旅行先で使う予定のない本やパソコンを持ってきていました。僕の頭の中にある”憧れの夜行バス像”では、夜行バスというのは普通のバスと違い車酔いをしないという前提がありました。これらの計画はその前提があったからこそ成り立っていた計画です。しかしながら夜行バスはただのバスです。そして僕はもともと車酔いしやすい人間です。この二つの条件が揃った僕はめちゃくちゃにバス酔いしてしまいました。追い打ちをかけることになったのはコンビニエンスストアで買った夜ご飯です。九州限定みたいな感じで売られていたカツサンドは僕のバス酔いを後押ししました。こうしてバス酔いした僕は、計画していた動画の視聴や読書もできずにバスに乗車して最初の2時間くらいは本当に絶望していました。

しかし悪い誤算ばかりではありませんでした。運転手さんはとてもいい人でした。まず出発前に乗客の一人一人のところに来てお茶とアイマスクをくれました。アイマスクなんて使ったことありませんでしたが、たしか夜行バスに乗る際にあったほうがいいものだとネットの記事に書いてあったのでもらえてうれしかったです。それから、僕と友人は横に隣り合った席を予約していたのですが、運転手さんが後ろの座席も空いているからそちらに代わってもいいよという風に言ってくれました。これもうれしい提案でした。このおかげで僕と友人は縦に並んでどちらも窓際の席に座ることができたからです。

佐波川SA到着(22:02)

乗車してからスムーズに進んでいるらしいバスは、22時過ぎに佐波川SAに止まりました。基本的にカーテンはしまっているので関門橋を渡るところを見逃してしまいましたが、いつの間にか福岡県にサヨナラして山口県に到着していたみたいです。SAに到着すると運転手さんから次にバスを降りることができるのは朝の7時ごろであるということ、それからここを出発したら客席は消灯時間になるということを告げられました。次にバスを降りることができるのが朝の7時ごろというのは知らなかったのでびっくりしました。定期的に休憩のためにSAに止まって、そのたびに外の空気を吸って伸びでもしようかなと思っていたのでこれも想定外でした。一応トイレ付きの夜行バスだったのでそれほど絶望感はありませんでしたが、次にバスから降りたらもう静岡だというのは驚きましたね。

佐波川SA出発(22:20)

出発してしばらくすると、消灯時間になり客席の電気は消えました。夜行バスに適応したことと読書をあきらめたことで結構快適になりつつありました。眠くなるまでどうやって時間をつぶしていたのかというと、周りの人に光が漏れて迷惑が掛からないように周囲をカーテンで囲んでネット麻雀をしながらネトフリで僕が高校生だったころに流行っていたらしいドラマを見ていました。さすがにパソコンでドラマを視聴するのは光が出すぎるためはばかられたのでスマホでネット麻雀をしながら右上に小さな画面を出してドラマを視聴しました。周りが暗くなり、しかもカーテンで囲まれて自分だけの小部屋的な空間を手に入れて、僕はかつて頭の中にあった”憧れの夜行バス像”とは近からずも遠くない現状に満足しました。そしてここからは眠くなるまでひたすらネット麻雀ですのでダイジェストでお送りします。

福山SA到着(0:41)

広島の福山SAに到着したみたいですが、ここから朝の7時までのSAは運転手の休憩や交代のためのものらしいので僕含め誰も離席しませんでした。というか多分周りの人は寝てますね。麻雀がはかどります。

三木SA到着(2:49)

兵庫の三木SAに到着したみたいです。暗い中ブルーライトを浴びているせいなんでしょうが、なかなか眠くなりません。麻雀にもなかなか飽きません。本当にいいゲームです。福山SAと三木SAの間で倍満を放銃しました。ついていないです。ドラマも一話ごとに違うストーリーのあるドラマなのでなかなか飽きません。ドラマはめったに見ないのですが、こんなに面白いなら普段からもっと見ておけばよかったと思いました。

寝た(3:12)

3時12分にワイヤレスイヤホンの充電が切れました。なので寝ることにしました。この直後にすぐに眠りについています。

静岡SA到着(7:00)

静岡SAに到着したみたいです。到着とともに起きました。睡眠時間は短いですが意外とぐっすり眠れたみたいです。静岡SAは乗客も外に出ることができたので9時間ぶりに大地を踏みしめました。朝です。伸びをして深呼吸をしたらとっても気持ち良いです。早起きはいいですね。

二度寝

静岡SAを出発したらしばらくはネット麻雀をしたりしていましたが、睡眠時間が足りていなかったようでだいたい8時45分ごろに二度寝をしてしまいました。寝落ちしてしまい麻雀は負けてしまいました。悲しかったです。

二度寝から目覚め、到着

二度寝から目覚めたのがだいたい9時25分でした。外を見てみると東京っぽかったです。少し渋滞しているみたいでしたがここまで長旅だったなあと感慨にふけっていたらあっという間に新宿に到着。ついたのはちょうど10時ごろでした。降りる時に運転手さんが「お疲れ様でした。」と言ってくれました。「いやお前がな。」と。本当にいい運転手さんだなと思いながらバスを降りると見慣れた光景。新宿駅に遠路はるばる帰ってきました。

結論

気が付いたことをいくつか述べます。まず旅行に行くときには早めに行き帰りの交通手段をとったほうがいいということです。もっと早く飛行機を取っていれば今回の夜行バスと同じくらいの値段で飛行機で帰ることが可能だったと考えると本当にそう思いました。夜行バスにしてももっと早く予約すればもっと安かったと思うので、計画性って大事だなと思いました。次に、麻雀は面白いということです。ネット麻雀をやっていたら時間は意外とあっという間に過ぎました。小窓で映画やドラマを見ながらなら多分僕は無限に麻雀ができると思います。みんなも麻雀をやりましょう。そして夜行バスの乗り心地ですが、案外悪くなかったです。友人は首を、僕は腰をそれなりに痛めましたが乗り心地が最悪ということはなかったです。ただこれは僕が若いからなんだと思います。10年後、20年後の僕にはお勧めできないと思いました。多分体がちゃんと壊れちゃう気がします。

最後に、帰りに中央線に乗りながら気が付いたのですが多分僕が幼少期に憧れていたのは夜行バスではなく夜行列車でした。普通に生きていたら幼少期に夜行バスという概念を通らないだろうと最後に気が付きました。以上です。おそらく引退後になるので記事にはできませんが今度は夜行列車に乗ってみようと思います。長文を最後までお読みいただき、ありがとうございました。