委員のインド生活記③

今回で3回目になります、経済学部1年の委員です。寒い寒い深夜の公園でポケモンGOをするのに飽きたので、ベンチに座りホットレモン片手にこの文章を書いています。ポケモンGOと聞いて皆さんは今なにを思い浮かべるでしょうか。多くの方はまだそんなゲームこの世に存在していたんだと驚かれることでしょう。僕の中で一年に3回くらいポケモンGOブームが来るので、その度に2ヶ月間くらいポケモンGO中心の生活を送ります。チャリで15分の駅と家の道を、チャリを押しながらポケモンGOして歩き毎日1時間ほど無駄にしてみたり、休日に1人で井の頭公園や日比谷公園といったでっかい公園に出かけてみたり。はたから見たから人生の無駄遣いのような生活を送っているわけですが、実はポケモンGOブームが過ぎ去るたびに僕はこの生活を後悔します。毎回後悔するとわかっていてこんなことをしているのは、負けるとわかっていてパチンコを打つ人達と同じ習性です。インドには全く関係ない話になってしまいました。僕の言いたいことはポケモンGOは神ということ。それでは本編へレッツラゴー。

ポケモンGOがリリースされた頃、僕はインド生活の真っ只中でした。めちゃくちゃポケモンが好きで今でもポケモンGOとポケットモンスターソードアンドシールドをプレイしてる僕ですが、その頃からポケモンGOをしていたわけではありません。というのも、インドの道はポケモンGOができるほど安全ではありません。野良犬や牛がウヨウヨいる路上には当然そこかしこにフンが落ちていますし、野良犬はほとんどが狂犬病を持っているし、ボーッとしていたら財布をスられるし、危険運転している車が多いのでいつ歩道に車が突っ込んでくるかもわかったもんじゃありません。それと、どこの道でも安定した4G回線が通っているわけではないのでプレイ環境も悪いです。そもそも、インドの道にはポケモンよりも面白い生き物(人間を含む)がたくさんいました。リアルポケモンGOってやつです。知らんけど。

先程インドの道には牛がいると申し上げましたが、実は牛はヒンドゥー教において神様の乗り物なのです。イスラム教の豚とは逆の理由でインドでは牛を食べられないわけですが、インドという国は宗教文化が強く根付いているので牛に関連する法律も多々あります。その中でも面白いのが自動車よりも歩行者よりも牛を優先するべしという法律で、これは中々にクレイジーです。牛が道を歩いている前提で法律が作られているというのがそもそも面白いのですが、このせいでただでさえひどい交通渋滞がさらにひどくなっているのです。学校に遅刻した理由が道で牛が立ち止まって渋滞になっていたから、なんてことはしょっちゅうでした。肝心の牛様は食べるものがなくてガリガリになっており、仕方なく道に捨てられたゴミを食べて生活しております。夏場は40度をゆうに超える猛暑にさらされて死にそうになっており、冬場は体を包む脂肪がない故に凍え死にそうになっています。神聖な動物に対する待遇にもインドクオリティが見てとれて中々愉快ですね。

インドでの生活に慣れてきたころに、祖父母が遊びに来てくれました。これまで海外といえばオーストラリアやヨーロッパ、ハワイなどと美しい場所ばかりに旅行していた2人は、この一回以降一度もインドには来てくれませんでした。しかし、それでも時々会って海外の話になると、何故かいつも楽しそうにインドについて話しているのです。インドは一度でお腹いっぱいになってしまいますが、超絶美味な料理といったところなのでしょう。

祖父母が来たため折角なので観光しようと思い、デリーから高速に乗って4時間弱ほどでつくアグラという街にタージマハルとアグラ城を見に行きました。インドの高速道路は思ったよりも綺麗で(あくまで思ったよりも)、多少みんな飛ばしてはいましたがなんだかんだ安全でした。現地に着くと父が接待の際によくお世話になっていたインド人のガイドさんがついてくれて、流暢ではないが下手とも言えないくらいの日本語で楽しく名所を案内してくれました。あまりの大気汚染でタージマハルの敷地内に入ってもタージマハルが霞んで見えるというインドクオリティを満喫したのち、ガイドさんが経営しているというカレー屋さんでお昼を食べ、その足でガイドさんのお友達がやっている大理石店に連れて行かれました。結論から言いますと、実はこのガイドさんかなりのやり手で、日本語を使い日本人に観光案内をした後に、食事やお土産を全て自分の系列店で買ってもらいお金を落としてもらうというシステムを構築しているのです。その上、この大理石店はデリーで買えば2000円程度のものを普通の顔で20000円で売っており、値引き交渉をしても適正価格まで下げる前に客が満足するというインドらしい店でした。タージマハルの美しい石細工を見て心を踊らし、本当の石細工の値段なんて知るはずもない日本人観光客は当然カモにされますし、カモにされたことにも帰りの空港でまた大理石のお土産屋に入らない限り気付けません。僕の祖父は所謂一般的な日本人観光客なのでその罠にハマり、半額まで値切ってやったぞと嬉しそうに大理石で作られたタージマハルの模型を買って帰りました。客さえ気づかなければどちらも幸せなのでウィンウィン。これがインド流です。

前々回インドの胃腸炎について書きましたが、実は1週間弱の滞在で食事に嫌というほど気を遣っていた祖父も日本に帰る前日にお腹を壊しました。日本で病院に行って検便したところ、日本では何十年も前に死滅していて見かけることのない微生物が何種類もいたらしく研究材料にされたそうです。やはりインドという国は話題につきません。

一言でいうならば、インドは人も文化も何もかもが良くも悪くも異次元です。クセになると言って何度も通い詰める人もいるし、楽しかったけどもう二度と行かないと言う人もいますが、つまらなかったと言う人は多分ほとんどいません。異文化に触れるということは僕たちの本能を刺激し、新しいものは我々を興奮させます。今回僕が紹介できたインドは本当に一部分だし、世界で7番目に広い国土を持つインドのたった一つの都市であるデリーから見たものでしかありません。東西南北それぞれがまた異なった言語や食文化を持つこの国に興味を持ってしまったら最後、それはどこまでいっても未知と発見が待ち受けるパンドラの箱なのです。もし少しでも興味を持ったら、ふらっとインド旅行をしてみてください。あなたの視野を広げ、価値観を変え、人生を変えることを僕がここに約束します。

ここまで3回にわたり、長々とした駄文を読んでくれてありがとうございました。書いている側は楽しいのですが、読んでいる皆さんは楽しんでくれるのか不安で不安でたまりません。文章を書くことは大好きなのでまた何かのご縁があればウェブマガジンの方に何か寄稿しようと思います。もしそんな日が来たら、また読んでくれると嬉しいです。

本当の最終話はこちら▽