【第54回一橋祭団体コラボ第2弾】ビジネスロー専攻の知られざる正体を大調査!

こんにちは! 経済学部3年のたけのこです。

第54回一橋祭団体コラボ第2弾となる今回は、一橋大学大学院法学研究科ビジネスロー専攻(千代田キャンパス)さんを取材しました! あまり耳馴染みのないビジネスロー専攻は、ふだんわたしたち学部生が過ごす国立キャンパスではなく「千代田キャンパス」にある社会人のための大学院なんです。本稿では、そんなビジネスロー専攻で研究と仕事の両立に励むみなさんへのインタビューで、研究生活の様子や、山口真由さんを特別ゲストに招いた講演会の詳細を深掘りしていきます!

知られざる“チヨダ”の裏側とは!?

左から、市川さん、中村さん、島さん。

――それでは、まず簡単に自己紹介をお願いします。

市川さん(以下、市川) ビジネスロー専攻修士1年の市川と申します。ビジネスロー専攻の学生はそれぞれゼミに所属しているのですが、私は労働法ゼミに所属しています。 研究内容としてはジョブ型雇用を研究しようと思っているところです。ビジネスローは、わりと最先端の理論的なことだけでなく実務的な内容も学べるということもあって、指導にあたる先生も研究者だけでなく弁護士の先生など実務の第一人者の方がいらっしゃいます。そういったこともあって労働法だけでなく、M&A(企業の買収)や情報法など幅広い分野も学ぼうと思っているところです。

中村さん(以下、中村) 中村と申します、市川さんと同じく修士1年です。専攻は会社法で、企業が社会に与える影響について学んでいます。実は学部も一橋出身で、法学部国際関係コースに所属していました。卒業後はそのまま大学院に行ったわけではなく就職をしたのですが、社会に出て仕事をするうちに、ビジネスの視点から法律を学び直したいと思うようになり、社会人5年目のこのタイミングでビジネスロー専攻に進みました。

島さん(以下、島) 島と申します。市川さん、中村さんと同じ修士1年で、情報法ゼミに所属しています。今年度(2023年度)に開講した「情報法プログラム」の1期生です。修士の学位に加えて、プログラム修了証(サーティフィケート)がもらえるそうです。私の研究の内容ですが、デジタルプラットフォームの影響力が高まっている中で、規制の取組で先行するEUなどを参考に、さて日本ではどのような手段をとり得るのか?という観点から、デジタル時代における情報空間政策について考えています。昼は役所で、既存の規制の見直しに関する仕事をしているので、本業と研究が、実務と理論というかたちで相乗効果を生んでいるように思います。

――つづいて、ビジネスロー専攻とはどのような専攻なのかお聞きしたいです。いわゆるビジネスローにそこまで詳しくない一橋の学部生にもわかりやすいようなご説明をいただけるとありがたいです……!

 何と言ってもまず、社会人のための大学院というのが特徴ですね。場所は「千代田キャンパス」といって、竹橋と神保町の間のところにあります。国立キャンパスの学部生のみなさんにはほとんど知られていない千代田キャンパスですが、一橋大学建学の地なので、こっちが“本家”と言えなくもないかもしれません(笑) 通っている学生は、オフィス街の丸の内・大手町などで働く人も多く、私のように霞が関から通う人もいるので、平日18時20分から始まる授業に間に合いやすいように、この場所に社会人大学院を置いているというのもあるのだと思います。ビジネスロー専攻の目標として「国際的な視野と戦略的思考力を備えた法務・法曹人材育成」が掲げられていて、ビジネスローという名のとおり、グローバルなビジネスの現場で直面する法的課題を解決するために勉強しているというのは、どのゼミも共通していると思います。

市川 先ほど島さんも少し触れていましたが、知財戦略、情報法、GBL(グローバル・ビジネスロー)は専門性を磨く3つのサーティフィケート・プログラムとして、修了すると、学位に加えて「プログラム修了証」が授与されるというのも特長として挙げることができると思います。私の労働法ゼミや中村さんの会社法ゼミは、オリジナルコースにあたります。

島 各領域で一流の職業研究者による授業はもちろん、実務家教員による講義も多彩で、情報法プログラムで言えば、たとえば増田雅史特任教授(弁護士)による「Web3・メタバースと法」は日本で初めての取組だと思います。講義では、国会議員もゲストとして登場し、政策づくりの舞台裏をオフレコも含めて解説してくださった回もありました。

中村 ビジネスロー専攻は実践的というところが、学部からそのまま進学する大学院とは少し違った、社会人大学院ならではの魅力ですよね。ビジネスロー専攻は、アカデミックな内容を深掘りするというより、最新のビジネスの動向を踏まえた「アカデミック×実務」の掛け合わせがポイントになっています。まさにその掛け合わせにこそ新規性があり、またその成果を社会実装していくことが大事にされていると感じます。

――そんな社会人大学院のビジネスロー専攻で、実際に学んでいるのはどのような方が多いのでしょうか。

 こちらの円グラフをご覧いただくとわかりやすいと思いますが、30~40代が中心ですね。変化が目まぐるしいグローバル・ビジネスの現場で日々、課題を感じながら「勉強しないとついていけないな」と感じ始めて、学ぶことの重要性を痛感する年代と言えるのかなと思います。企業の法務部や知的財産部の人、市川さんのような弁護士や弁理士、出版社やテレビ局の人、国家公務員や地方公務員まで、ほんとうに幅広いバックグラウンドを持つ学生が集まっています。

市川 年齢で言えば、部長クラスの方や管理職の方もいらっしゃいますね、50代以上の方もいます。あと、ゼミではかなりいろいろな業種の方がいるので、そういった意味ではふだんあまり関わることがない方ともお話しする機会はありますね。

 きょうの3人だと、私と中村さんが法学部出身、市川さんが教育学部出身のようですが、あらためて全体で見ると、法学研究科と言いつつ、意外と法学部出身(49%)がそこまで多くはないんだなと思いました。ビジネスロー専攻で「大学時代の学部は何だった?」といった話は全然しないくらいに出身学部は関係ないですね。

今年の一橋祭は……

――今回、ビジネスロー専攻主催の講演会では、特別ゲストに山口真由さんをお招きされますが、ズバリ!なぜ山口真由さんなのか、お聞きしたいです。

市川 実は去年一度、山口さんをお呼びしようとした経緯があったらしいんです。それはコロナ禍か何かが原因でうまくいかず、企画が頓挫してしまったのですが、今年もチャレンジしてみようということでお呼びすることができました。ビジネスロー専攻で会社法を担当されている得津晶教授が、東京大学の学生時代に山口さんが後輩にあたり、以前からつながりがあった縁もあり、お声をかけさせていただいたということもあります。あと、山口さんに対して、やはり新しい女性像というイメージを持っている方も多いと思いますし、そういった意味で多くの方に一橋祭当日の講演会にお越しいただけるのではないか、ということで今回、山口さんをお招きしました。

――講演会のタイトルが「山口真由の挫折からのキャリア論」ということでしたが、一言で言うと内容はどういったものになるのでしょうか。

市川 山口さんがお書きになった「挫折からのキャリア論」という本をメインに、先生のご経歴から挫折の経験などのさまざまなキャリアに関するお話を深掘りしていくかたちになります。あと、山口さんは家族法の教授になられて、最先端の研究を行って賞も受賞されているので、研究についてもお話ししていただく予定です。こちらの内容はアカデミックかつ最先端ということで、ビジネスロー専攻の理念に沿った内容になるようにしていければと思っています。ちなみに講演会の後半のパートでは、山口さんの先輩である得津先生や、今回インタビューに参加している中村さんや島さんにも参加していただくパネルディスカッションを予定しています。

――「今回の講演はこんな人に聞いてほしい!」のような届けたい層があればお聞きしたいです。

市川 「キャリアについて考えているすべての人」というのが一番の回答かな、と思います。学部生でこれからキャリアを積むという方はもちろん、わたしたちのように一度社会に出てから学び直しをしたいという方、さらには大学の研究者にご登壇いただくので今後研究者としてのキャリアを考えている方、女性としてどのようなキャリアを積んでいくのか考えている方、男性はそれにどのように協力できるのかと考えている方、ほんとうにキャリアを考えている全ての方に聞いていただければと思っています。

 わかりやすい例で言えば、仕事とプライベートの両立などがキャリアに関する悩みとしてよく挙げられると思いますが、東大首席、財務官僚、弁護士という一見キラキラしたキャリアを歩んできたように見える山口さんでも、ご本人にしかわからないような悩みに向き合いながら、たくましく乗り越えて、前に進もうとしてこられたんですよね。高校生にも参考にしていただける内容になるのではないかと思っていて、私は国立キャンパスに近い複数の高校に直接宣伝に行きます。一橋大学の受験生になるかもしれない高校生のみなさんにも、一橋祭に遊びに来ていただき、ぜひ山口さんの講演会も聞いてもらえるとうれしいです。あ、ちなみに私は看板もつくって国立キャンパスの目立つところに置いています(笑)

――それでは最後に、読者の方に一言お願いします。

中村 とくに学生の方だと、大学進学や就職が一つのゴールと捉えてしまいやすいと思いますが、実際にはそんなことはなくて、私自身もいま現在、悩みながらキャリアを模索しているところです。いろんな選択肢があるなかで、山口さんの講演会がみなさんにとってキャリアを考えるよいきっかけになるといいなと思っています。

市川 山口さんのお話を直接聞ける機会というだけでも貴重と思いますが、それに加えてビジネスロー専攻の得津先生との「先輩・後輩」掛け合いも面白くなるのではないかと楽しみにしています。得津先生は非常に面白い方なので、千代田キャンパスの実際の雰囲気がよく伝わるのではないでしょうか。島さんや中村さんにご登壇いただくこともありますが、キャリアに関する生の声に触れられるということもあるので、ぜひ11月26日の会場でしか聞けない話を楽しんでいただければと思います。

 ビジネスロー専攻が主催する講演会ということで、「人生100年時代」になぜ今、大学院という場の価値があらためて見直されているのか?という話もあると思います。あ、そういえば、山口さんは「卵子凍結」のご経験もあり、そうしたお話も講演会でしてくださるそうです。今回はZoomによる中継をあえてナシにして、会場のリアル参加のみにしました。ふだん聞けないような、ぶっちゃけ話を引き出したいと思います!

――貴重なお話ありがとうございました!

最後までお読みいただきありがとうございました。
ビジネスロー専攻主催の企画の内容は、こちらのチラシからもご覧いただけます。

最終回となる団体コラボ第3弾では、DDP屋内企画部ゲーム班さんにインタビューします! お楽しみに。

第54回一橋祭「ヒトツバレ!」
場所:一橋大学国立キャンパス
日時:11月24日(金) 10:00~17:00
     25日(土) 10:00~17:00
     26日(日) 10:00~16:00
一橋祭公式WEB:https://ikkyosai.com/visitor/54/

一橋大学大学院法学研究科ビジネスロー専攻(千代田キャンパス)の企画はこちら!
山口真由の挫折からのキャリア論
11月26日(日) 14:15-15:45
@インテリジェントホール
https://ikkyosai.com/visitor/54/event/56006

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