田舎産委員の東京体験記vol.2.5 ~帰省編~

はじめに

皆さんどうもこんにちは。経済学部1年の田舎産委員です。わざわざこんな記事を見に来るとは随分物好きなようで。普段は田舎出身である僕が都会で感じたギャップを綴っているこの東京体験記シリーズなのですが、今回は番外編。先日僕が夏休みを利用して帰省した時のお話を書こうと思います。なんだかんだ忙しくて書く時間がなく、もう風が冷たい季節がやってきましたが、そんなことは気にせず本編へ入っていきます。初回をまだご覧でない方は、ぜひ先にご確認いただけると幸いです。

ご確認いただけたでしょうか? それでは本編に入っていきましょう。

旅のしおり。

今回の帰省では青春18きっぷを利用することにしました。理由は2つ、1つには電車や鈍行旅行に憧れがあったこと。もう1つは単にお金がなかったことです。そんなわけで始まります鈍行旅行。この一橋祭WEBマガジンには鈍行旅行の先人もいらっしゃるので、興味がある方はぜひそちらもご確認ください。

帰省という話ですが、そもそもお前の地元ってどこだよと。そう思った方もいると思います。初回では地味に伏せていたのですが、別に隠す必要も無いのでご説明。僕は四国の愛媛県出身です。中々に遠いんですよね。といったところで大きな問題が発生します。なんと、僕の地元は田舎過ぎて鈍行では1日で辿り着けないのだそうです。早速の頓挫。どうしたものかと悩みましたが、最終的に京都の友人の家に泊めてもらい、ついでに京都探訪までしてしまうことにしました。そんなこんなでこの旅は京都旅行編との2部構成になったわけです。

出発の朝

2部構成となったこの旅ではありますが、それでも鈍行旅行に時間の余裕はありません。朝もなかなかに早く、家を6時に出発します。夏場にも関わらずひんやりとしたこの時の空気は、(執筆が遅れすぎて)2か月前の事となった今でもよく覚えています。

そしてこれが今回のお供です。有名な品なので皆さん見たことくらいはあるんですかね。僕はシリーズ初回でも言った通り鉄道とは縁のない人間だったので、当然見たことはなかったです。この小さな紙切れ一枚で日本横断だって出来てしまうというのですから、なかなか面白い話です。

電車に揺られて9時間半

ここからは電車の話です。一応降りた全部の駅で駅名標を撮影していたのですが、全部貼っても仕方ないのでフォルダの中にしまっておきます。個人的に一番好きだったのは川崎駅ですね。カピバラが居ました。かわいい。

乗り始めのころは普段通りの東京の電車でしたが、1, 2時間揺られていると一気に「鉄道!」という風情が出てきていい気分になりました。これは単なる自分語りなのですが、東京の電車って乗り物に思えなくないですか? 駅から駅へと流れていくハコのように思えます。乗り物というよりは「動く建物」。僕が田舎者すぎるだけかもしれませんが。

さらに電車に揺られていくと、だんだん様子が変わってきます。車両数はどんどん減っていき、気づけば3両編成のものまでありました。何よりも恐ろしかったのは座席がクロスシート(縦シート)になったときでしょうか。生涯で東京のロングシート(横シート)電車しか乗ったことがない僕にとっては、クロスシートは無条件に有料席のような気がして恐ろしかったです。1号車から後ろまで駆け抜けましたが、どの車両もクロスシートであることを確認して隅っこに乗り込みました。それでも気が引けて座席には座れませんでしたね。ちなみに余談ですが、どれだけ田舎になっても自動改札機はきちんと設置されていました。

京都に到着

というわけで到着しました京都。もう外は真っ暗です。

文章にすると電車に揺られっぱなしで語れることもありませんが、なかなかに長い旅路でした。先述の通りここまで9時間半です。ここで友人と合流し、この日は夕飯を食べて家に泊めてもらいました。その後は夜な夜な友人と2人でマンカラ対決に勤しみ、結果翌日の京都探訪の出発時間は2時間ほど遅れることになります。

京都探訪

そうして始まりの遅れた京都探訪ですが、内容自体は極めて充実したものになりました。東京探訪のデジャブよろしく一切の希望・意向のない僕でしたが、優秀な友人に案内されて無事京都を堪能することが出来ました。

まず初めに向かったのは下鴨神社。ちょうどこの時は御手洗祭というお祭りが開かれていて、かなりの盛り上がりを見せていました。中でも一番面白かったのが足付け神事。ろうそくを持ってかなりの冷たさの水場を素足で歩き、その先の献灯台で火を灯します。当時は暑い夏だったので、水の冷たさが嬉しかった記憶がありますね。

ここではみずみくじという、水に浸して初めて結果が分かるおみくじも買ってみたのですが、結果は末吉であったうえかなり散々だったので木に縛り付けて捨て置きました。

下鴨神社を楽しんだ後は錦市場に向かいました。ここでの感想はとにかく人。人、人、人。見渡す限り全方位人がぎっしりで、まっすぐ歩くこともままなりません。お店自体はどれも魅力的でしたが、田舎者の僕には少し刺激が強すぎました。

その後は特に目的地も定めず、ふらふらと京都の町を彷徨いました。その中で案内役の友人も行ったことがない謎の美術館に辿り着いたり、突如温泉に行きたくなって夜の予定をキャンセルしたりと波乱続きではありましたが、こんな旅もいいものだなあとしみじみ思いました。

いざ愛媛へ

朝4時30分。出発の時です。愛媛はあまりに遠く、京都で一泊してなお始発に乗らなければ辿り着けないのです。先日1日分の鈍行旅行を乗り越えた僕は、多少長かろうとももう1日乗り越えられると信じていました。その考えが間違っているというのは、すぐに思い知ることになります。東京-京都間のような利用者の多い区間とド田舎たる我が地元は違ったのです。

そのことを最初に痛感したのは、岡山駅でのことです。本来ここでは10分ほどで乗り換える必要があったのですが、初めて来る駅の構内で遭難してしまい、一本乗り逃してしまいました。少し落ち込みながら改めて乗換案内サイトにデータを入力します。結果。到着時間が2時間遅くなりました。東京-京都間でも1度乗り換えに失敗していたのですが、その時は十数分遅れるだけでした。これが本当の田舎か……と思いながら、そっと親に夕飯は一緒に食べられない旨を連絡しました。

そんなこんなでひと悶着ありながらもついに旅のステージは四国内にやってきます。これまで十数年暮らしていた地域ではありますが、田舎らしく普段から自動車生活。電車など乗ったことはありません。別に地元に来たものの安心できることはありませんでした。そしてここから真の鈍行旅行が始まるのです。

1時間に1本の電車

四国内が「真の鈍行旅行」だと称した所以は、その運行本数の少なさにあります。見出しにもあるように1時間に1本も来ない電車。それゆえ乗り継ぎの度に各駅で1時間近く待たされます。ぶらり途中下車(強制)の旅の始まりです。

また、四国に入ってからは一気に駅員さん・車掌さんの優しさを感じるようになりました。これは別に都会の駅員さんが薄情だという話ではなく、そうした気遣いがないと回らないくらいに不便な交通状態だという話です。例えば僕が香川で乗り換えに失敗しかけたときのこと。発車時刻を過ぎているはずの電車はなぜか出発せず、車掌さんが僕に向かって声を掛けてきます。その瞬間は人の暖かみに感動しながら乗せてもらいましたが、改めて乗換案内を確認して震えました。なんと、そこで乗り逃していれば僕は家まで帰れなかったのだそうです。

「切符の確認」

これが最後のエピソードです。シリーズ初回で相当に擦った話ですが、愛媛には自動改札がありません。そのためどうやって運行しているのか? 答えはそう、切符の確認です。はるか昔の時代に取り残され消えたはずの概念が、愛媛県内では未だ生き残っているのです。先述の通り青春18きっぷで旅をしていた僕は、本当にこれらの電車にも乗ってよかったのかと不安になり怯えていました。東京の電車は自動改札で精算する形になっていますから、運賃箱の制度自体が馴染みのないものだったのです。

到着

こうしていくつものトラブルを抱えた鈍行旅行もついに終わりの時です。目的地に到着しました。あたりはもう真っ暗です。

この後は最寄り駅まで迎えに来てくれた父親の車に乗り込み、懐かしのわが家へと帰りました。数か月ぶりの実家でしたが、思ったより何も変わらないものです。その後は久々に実家の自室を見て受験期を思い出したり、先生に挨拶しようと母校を訪れたら追い返されたりと色々ありましたが、語るほどのことは無かったので省略します。

終わりに

いかがだったでしょうか、今回の「田舎産委員の東京体験記vol.2.5~帰省編~」。また大概に長い文になってしまいましたが、少しでもお楽しみいただけていれば幸いです。

今回の旅においては、そもそも京都探訪自体が1日では愛媛まで辿り着けないという予定外によるものです。その後もその場の気分やトラブルで何度も旅程を変更しました。几帳面な人が見れば奇声を上げて頭を掻きむしりそうな内容でしたが、当の僕自身にとっては本当に楽しい旅でした。途中下車(強制)をした中でもそれぞれの街のスイーツを堪能したり、よくわからないモニュメントを見学したりと話題には尽きない体験ができました。

予定外続きというとどうしてもネガティブな印象を与えてしまいますが、実際のところ予定外というのは新たな体験のもとです。普段の生活で体験しないことに出会える機会として、予定もろくに定めずに旅に出るというのはありかもしれない、そう思う旅でした。ぜひ皆さんも、退屈や飽きを感じたときには鈍行旅行をしてみてはいかがでしょうか? 出先での出費を合わせても、5千円もあれば十分に堪能できると思います。

なんだか長い記事になってしまいましたが、今回はこれで終わりです。いずれ次の記事も書く予定なので、また読みに来てくださると嬉しいです。それではまたどこかで。

前回の記事はこちら▽